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(総手描き友禅)
NHK 加賀・能登イブニングにて放映
加賀友禅・上坂は、5年の加賀友禅絵付け修行を経て1982年創業以来、1点の例外も無く全ての作品をお客さまと直接に完全誂え(フルオーダー、
フルオートクチュール)でお作りしております。これ以外に加賀友禅作家として手描き染めの納得のいく作品作りはできないと信じたからです。
当初より、着物だけでなく、屏風、ふくさ、ネクタイ、染額、壁面などに手描き友禅の可能性を追究してまいりました。
金沢市深谷温泉・石屋 能舞台(石川テレビロケ)
着物展示会
屏風・パネル
(※画像の無断使用は著作権法で厳に禁止されています。ご注意ください)
友禅・立体造形アート「輪廻」
「誕生前」
「誕生前」
h200cmw90cm
「Bマター」
h180cmw80cm
SDGs金沢
IMAGINE KANAZAWA 2030
加賀友禅が消滅の危機にあります。
次世代への持続可能な新たなシステムモデルを早急に
● 500年前の無地染め梅染めから江戸中期ごろまでの兼房染め、色絵染めなどのお国染めを経て江戸末期から明治になって京都から友禅染の技術が全国に波及し金沢でも友禅染めの技法が加賀紋などに使われ着物にも取り入れられた。大正時代になってドイツからの科学染料が全国に普及し、”蒸し” の工程を経ることで安定した彩色ができるようになる。国による地方の地場産振興政策の元、銀座の百貨店が金沢の友禅染めを「加賀友禅」とし、現在広く周知されている加賀友禅に至っている。その歴史は、時代の変化に対応し時代のニーズに応えるための染め技法、デザインの飽くなき探求であり、まさに進化・変化の歴史でもあった。
長年、この地で多くの職人たちが幾多の困難を乗り越え受け継いできた加賀友禅が今、深刻な消滅の危機にあります。
隆盛期には350人を超える落款登録(組合員)作家がいましたが、現在、着物制作で生計を立てている作家(高齢)は残念ながら数えるほどもいなくなりました。後継の若手作家も一人も育っていません。すでに職人がいなくなった工程もあります。この危機を縮小の一途にある加賀友禅の業界だけで乗り切り、上質のまま次世代に継承して行くのは現実的に不可能に思えます。対症療法では無い抜本的な対策を模索し、持続可能なシステムモデルを一刻も早く構築する必要に迫られています。
過去の繁栄にしがみ付くのではなく現実的な問題に勇気を持って対峙し、新時代を見据えた業界の真剣な意識変革が必須と思います。新型コロナウィルスのパンデミックで今までの価値観ががらりと変わっています。
そもそも伝統とは何か?「伝統」という言葉に隠れた真実の歴史の再検証、「伝統」の本質がより問われている時代なのだと思います。
旧態依然とした時代遅れの間違った内輪の論理や近視眼的な発想では何一つ通用しないでしょう。加賀友禅界も今が変革のための最大で最後のチャンスの時なのではないでしょうか。
私たち21世紀の市民、職人が江戸時代からの先輩市民から褒めてもらえるようなイノベーションを起こし、上質な加賀友禅を健全な形で次世代に繋げていきたいと強く思います。
真に新しいことは、真剣な異質のものとの出会いからでしか生まれ得ないものと思います。
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私共は加賀友禅の可能性を広げるために、当初から現代社会に受け入れられるよう考えられる限りの作品作りと事業化の可能性を模索してまいりました。長年に渡る取り組みがようやく少しずつではありますが確かな結果が出てきています。
対症療法でしか打つ手がない業界の現状では、有史以来の危機を乗りきって行くのは不可能に思えることから、内外の文化面の専門家や識者の方と現状の問題点について真剣に話し合い、持続可能な全く新しいシステムモデルを検討しています。
伝統とは、作家や職人が作るものではなく、時代と共に、その時代に生きる市井の人々が作るものなのです。
SDGs金沢 IMAGINE KANAZAWA 2030パートナーズ 株式会社上坂 上坂幸栄
勇気ある革新
■長年、特定の作家に市や県の仕事が多く出されているということを頻繁に耳にしてきました。きちんとした調査が必要と思いますが、事実だとしたらいったいどんな理由があるのでしょうか。税金を使った公の仕事は品質を確認した上で、広く遍く、より優秀な他の若手作家にも割り振られるべきではないでしょうか。長年幾度となく耳にしてきている「私物化」があるとしたらもっての他だと思います。これも厳しい調査が必要と思います。バブルが弾けて以来、特に最近は職人や作家、問屋関係の中から、悲鳴にも近いかなりの疑問や不満の声を耳にします。思いたくは無いが、この業界にも時代錯誤の、歪で、理不尽で、低俗なヒエラルキーがあるのではと思わざるを得ません。
経済的に厳しい中、たとえそういうことがなかったとしても 、不信を与える不透明なことに対して、誰の目にも納得できるように調査をし、実態を明らかにする必要があると思います。でなければ、この加賀友禅の有史以来の深刻な危機を乗り越えることなど到底叶わないと思うからです。なぜなら、目の前の危機を乗り越えるには何よりも、それに携わる人たちの一人一人の前向きな"やる気"というエネルギーが絶対的に必須の条件だからです。
今日のように経済的に厳しい状況になればなるほど、歪な"不信”は前向きな"やる気"を削ぐことに直結します。このことを深く危惧します。
新々の息吹、闊達で健全なものつくりのエネルギー、、、こういうものが無いところに文化の発展など望むべくも無いのではないでしょうか。
まずは、このような長年の体質的な闇の部分に、勇気を持って光を当てることから始めるべきではないかと強く思います。
新しい芽は明るい太陽の元でなければ決して育たないでしょう。文化都市とは常に新しい芽が育ち続ける、多様性に満ちた健全で開かれた都市のことと思います。そういう都市には、自ずと若いエネルギーが集まってくると信じます。
伝統と革新
■社会は世の中はめまぐるしく変わっていく、人々のライフスタイルも価値観も。そんな中で伝統の美は、守るだけでは時代につけず形だけのものとなってしまう。形にとらわれずそのイデア(本質)を継承して、時代とともに進化していかなければ本当の意味で生きた伝統とは言えない。伝統を継承しつつも、生かす術は、勇気ある革新にこそあるとも言える。そして、真の革新もまた、無から出るのでなく、過去があって可能になる 。「伝統と革新:上坂幸栄の世界」より抜粋
一般社団法人 アーツアライブ理事長 林 容子
国際基督教大学、デューク大学で美術史を学び、コロンビア大学にて アーツアドミニストレーション学修士取得。ニューヨークのアートコンサルティング会社やMOMAのアートアドバイザリーサービス部で企業コレクションの収集、制作企画及び企画展実施に関わる。尚美学園大学・大学院芸術情報研究科准教授。武蔵野美術大学他非常勤講師。米国PUBLIC ART REVIEW誌アドバイザー。 川崎市民ミュージアム運営評価委員、川崎市文化芸術振興委員。2011年度安倍フェローとして、米国ケースウエスタンリザーブ大学医学部客員研究員として同大学教授ピーターホワイトハウス博士(老齢神経学者)とアートが脳の高齢化に与える影響について研究。