「その初めにおいては同じ一つの衝動が人を教会に向かわせ劇場に向かわせる」(古代芸術と祭式)
長年、心の底にいつ見ても心が引き締まる座右の銘がある。
英国ビクトリア王朝時代の女性古典学者 J.Eハリソンの言葉だ。
若い頃偶然目にした本の言葉だが、夢に向かって悪戦苦闘していた私にとって、ビジュアル作家の端くれとしてこの社会で生きていく上での確固たる存在意義を教えてくれた言葉だ。見た瞬間、目の前がパッと明るくなったことを今でもはっきり覚えている。
偉い先生の難しい解説はいろいろあると思うが、私には教会(宗教)も劇場(芸術)も人が生きていく上で欠かせないとても大切なものなのだとストレートに心に突き刺さった。同時に「ビジュアル作家としての責任」みたいなものも感じた気がした。自分の我儘だけでやっているんじゃ無い、ビジュアル作家として堂々と道を歩けるみたいなおかしなことを考えていた。以来、ビジュアル作家として、目指す夢に向かう私にとって強力な羅針盤になっている。
人生の終盤を迎えて、今まで通りブレずに夢を目指して突っ走ろうと心するこの頃だ。