最近よく、「そこがあんたのプロ意識やね、、、」とか「プロ意識がすごい」とか言われる。作品制作(仕事)をする時に「自分はプロだからとか、プロの仕事をするぞ、、、」とか一瞬も考えたことは無いが、若い頃にそのことについて考えたことがある。そして、それはとても腑に落ちたので、以来変わらず心の底に秘めている。
それは、「プロとアマの違いがあるとすれば、その作品を作るにあたって、見る人のことをどれだけ思いやれているのかいないのか、が、プロとアマの差ではないか」ということだ。四六時中いつも考えているということではない。軸足の位置の問題だ。目に見えないタッチの差だが、作品になったときには一目瞭然だ。
ビジュアルの作品というのは、誰かが見るということが大前提だ。作品の向こうに人がいるという真実を忘れないということだ。見る人に迎合することではもちろんない。その人と作家が作品を通して人間レベルで関わるということだと思う。着物の場合は、大前提に、着る人が一番輝くようにと思い願うことだ。
着物がなんでも売れた時代(2、30年前ころ)には少なからずこれが反対になっていたように思う。自分の名利のために作家になる。加賀友禅作家は一段高みにあると思い込んでいたのではないか。それが作品に出る。着る人が「主」で、着物はあくまで「従」なのだ。
情けない話だが、この歳になっても普段は腹が立つこともいろいろあるので、仏様みたいにどんな時にも他人を思いやるなどということは人並みにもいかないが、少なくとも人生を賭けた大好きな仕事だけは若い時のまま死ぬまで理想を追いかけて燃え続けたい。